不登校の子の父親である公認心理師が語るブログ

不登校の我が子の出来事を、父親かつ教育現場で働く公認心理師の立場からお話します

パパの学校に行ってみた(ワクチンを打つためです)

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないです。

大変なことです。

 

そんな中、私が勤めている学校で「新型コロナウイルスワクチンの職域接種」を行うことになりました。まだ受けられていない学生も多いので、いいことです。ついでに、地域の方々や職員の知り合いも打てることになりました。

不登校の我が子は14歳なので、つい最近市町村から接種券が届いたのですが、ワクチン接種はどの病院でも予約一杯で、打つことができないままでした。

 

グッドタイミング!

モデルナ製ワクチンなので、ちょっと副反応があるとは思いますが、コロナに罹った人から直接に話を聞くと、とてもしんどい状態であることが分かるので、我が子にはワクチン接種を勧めました。

もちろん、我が子の意志を尊重して、「どうします?」と聞くと、「打つ!」との返事。

我が子は、結構ニュースを見ている(読んでいる)ので、新型コロナウイルスの危険性と、ワクチンの有効性について理解しているようでした。ネット経由の知識も多いので、「ワクチン副反応などについての偏った情報に振り回されていないかな」と思っていましたが、きちんと情報リテラシーを駆使していました。

 

 さて、ワクチン接種当日、パパが仕事の休みを取って自家用車で我が子を連れて行きました。

とりあえず、教員室に我が子を連れて入室。自由な雰囲気の職場で、ちょくちょく教員が自分の子どもを連れて教員室に来たりする職場です。そこで、パパの職場の先生方とご挨拶となりました。

「仲良くしている臨床心理の先生だよ。」(パパ)

「こんにちは。お世話になっています。」(先輩心理師)

「こんにちは!」(我が子)

 

「学科長の先生だよ。」(パパ)

「こんにちは」(学科長)

「こんにちは!」(我が子)

 

「おっ、スプラトゥーンのTシャツだね。」(他の先生)

「はい、そうです。」(我が子)

「うちの子もやっているんですよ。」(他の先生)

(「この先生もスプラを知っているんだ~」という興味の視線を送る我が子。先生の話に積極的にうなずいている。)

 

「おおー、大きくなったね~」(副校長)

「とっても偉い先生だよ。」(パパ)

「(ちょっと驚いた表情で)こんにちは!」(我が子)

 

その後、学科長から「すごくいい返事ができるんですね。仕事がなければもっといろいろお話ししたいと思いましたよ。」との話をいただきました。

確かに我が子は、返事は大きな声でしっかりと、相手を見て挨拶をしていました。マスクはしていますが、表情もよかったと思います。

本当に、しっかり挨拶できているし、反応もきちんとしているな~と、改めて感心しました。

私の職場の学生さんでも、挨拶がきちんとできない人もおり、なかなか大変だったりします。「他者に教えてもらう(学校や仕事で大切なことですよね)」には、「挨拶」と「反応」は大切です。挨拶がいまいちだと「あれ?大丈夫かな~?」となりますし、適切な反応を示してくれないと「聞いているのかな?」となります。そして、「なんか教えにくいな。教えるのやだな」となってしまいます。

 

ワクチン接種を受けた後、我が子に「パパの学校の先生たちが、『しっかりと挨拶ができていいですね』と、すごく褒められたよ。」と伝えました。

「そうか~。ほんと生徒会やっていてよかった~」(我が子)

「挨拶や返事がないと、『大丈夫かな?』と思うし、教えていても『分かっているのかな?』と心配になるんだよね。」(パパ)

「そうだよね。返事がないと、そうだよね~」(我が子)

ちゃんと核心を理解しているようです。

 

学校に行っていなくたって、いいんです。

でも、人と話をするときには「挨拶をする」「しっかり返事をする」、これは大切です。これらができていれば、周りのやさしい人達が、支援してくれます。私の学校の学生をみていてもそうです。

もちろん、「挨拶しなさい」と強要するのは良くないと思います。相手にとっては「挨拶していない」ととられてしまうのかもしれませんが、その子は精一杯の気持ちで挨拶をしていることも多いからです。軍隊のように一律に「声が小さい!」みたいな対応は、あってはならないことです。精一杯頑張っている子の気持ちを汲み取っていないからです。

でも、そういう教員はいますよね・・・

 

何のわだかまりもなく「元気に挨拶」できる子はそれでもいいのですが。

私は小学生の時「場面寡黙症」といえる子だったので、学校では誰とも話せない日々がかなり続きました。苦しかったです。ましてや、元気に挨拶なんて・・・

 

我が子も不登校になりたてのころであったら、このような挨拶はできなかっただろうと思います。そもそも、ワクチン接種のために外出することもできなかったでしょう。

今でも、不登校になりたてのころ、無理にフリースクールの体験会に連れ出そうとして家から駅に向かうとき、背中を丸めて申し訳なさそうに恥ずかしそうに辛そうにあるいていた我が子の姿を思い出します。

あの時の姿を、あの時の気持ちを、再び我が子にさせてはいけないと、強く何度も思い返します。

「大きな声で挨拶しなさい」と強要するのではなくて、「他者と良好な関係を取りたいな」とその子が思ったなら、そのためのスキルとして「しっかりと挨拶すること」が有効だよと教えてあげればいいのではないでしょうか。

 

 不登校の子には、まず援助をする大人が寄り添ってあげること、まずは「今のままでいいんだよ」と受け入れてあげることが大切だと思います。そのような時期に「大きな声で挨拶しましょう」なんて指導はありえないですよね。