不登校の子の父親である公認心理師が語るブログ

不登校の我が子の出来事を、父親かつ教育現場で働く公認心理師の立場からお話します

登校して休んで

その後、一度は登校したのですが、課題を手渡ししてすぐ下校したそうです。

学校には居たくなかったようです。

そのため、課題も持って帰ってきませんでした。

 

しかし、どうやら一つ課題をしていないようです。それは、「自分が作った人物イラストを横から見た絵を描く」というものです。

 

そして、再び「今度の登校日は休みたい」と言ってきました。その理由が、その人物イラストの横の絵を描いていないことでした。

 

いろいろと話をすると、人物イラストの課題を出された際、人物イラストを描くように指示され、見本として人物の前後が描かれたものも渡されたそうです。

なので、人物イラストの前後の絵を描いて持って行ったら、「横の絵も描いて」と言われたそうなのです。それが納得いかない。確かに、我が子の言うことは間違っていません。でも、仕事を始めると「よくある」ことですよね。上司の指示通りに仕事をしたら「何間違ってんだ!」と叱責されること。これに盾突くこともできますが、通常の人はできません。ましてや子どもが先生に「お前が間違っている!」とは言えないですよね。それでも(後日わかりましたが)、我が子は先生に「最初にもらった見本は横の絵がなかったから」という言い分は言ったそうです。が、「でも描いてね」と言われてしまったわけです。

 

少しずつ話して聞かせてもいい時期かなと思い、こんな話をしました。

 

「こうしたことは仕事を始めると『よくある』ことではあるよ。上司の指示通りに仕事をしたら『何間違ってんだ!』と怒られることもあるからね。でも、なかなかそれを指摘できないよね。じゃあどうするか。『わかりました。やり直します。』と言ってやり直すしかないんだよ」(パパ)

首を横に振る(我が子)

 

「であるなら、『最初きちんと説明しないのが悪い』と先生に言って、『横の絵は出しません』と宣言して、課題は出さない」(パパ)

首を横に振る(我が子)

 

「課題を提出しないと単位がもらえないよ。そうすると卒業できないことはわかっているよね」(パパ)

「わかってる」(我が子)

「ならば、課題を出さないで学校を辞める?」(パパ)

首を横に振る(我が子)

 

「しかし、横の絵を出さないならば、あなたの方が間違っていると先生に言って『横の絵は出しません』と宣言するか、学校を辞めるしかないよ」「学校を辞めたら通信高校にもう一度入るか、もう学校に行かないか」「それが嫌なら横の絵を描いて出すしかないよ」(パパ)

 

「でもさあ、何でそんなに横の絵描くのがだめなの?」と、よくよく話を聞くと「小学校2年の時に、先生が宿題を言い忘れたので、翌日宿題をしていかなかったら『何でやってこないんだ!』と叱られた」「そういうことが何度もあり、だから学校の先生が怖い」と言うのです。今回も学校の先生が怖いんだそうです。

「今の先生はすごく優しいじゃない。怒らないと思うけど。怒られそう?」(パパ)

「そうじゃない。『学校の先生』が怖いんだよ。だから、学校を変えても同じ」(我が子)

 

そうかあ、そうなんですね。トラウマなんでしょう。中学校入学当初でも、先生が怖くなる思いをしたことがありました。担任の先生の名前を覚えようとして一所懸命にメモしたら間違っていたので、みんなの前で「それは私の名前でなありません」と指摘されてしまったことがショックだったのです。同じ経験をしてもトラウマにならない子もいれば、なる子もいます。「そんなことで~」と言ってはいけません。

 

「そうかあ、仲のいい友だちはそんなこと言わないから、だから安心して楽しく遊べるんだね(我が子うなずく)。でも、少しずつ『リハビリ』していかないといけないね(我が子うなずく)。学校の先生は「怖くはない」という経験をして、すべての先生が人が怖いわけではないということを感じていけるといいな。まあ、確かに『本当に嫌な奴』もいるけどね」(パパ)

 

「自分の人生なんだから、今回は登校しないにしろ、『しょうがないけど課題をやるのか』『先生が言わなかったのだから出さないと突っ張るか』『課題を出さないでそのまま学校を辞めることになるのか』、しっかり考えなさい」(パパ)

 

我が子は泣きながら「じっと」考えていました。もちろん突き放しっぱなしではなく、「どのような道を選んでも、パパはあなたを絶対に見捨てたりしないよ」ときちんと伝えておきました。それには「うん」とうなずいていました。

 

どうなるのかな、もう無理かな、と思っていたのですが、数日後、「絵を描いたよ!」と我が子がVサイン。そうかあ、一所懸命考えて、向き合って、結論「絵を描いた」んだね。「すごいね!本当にすごいよ!」と褒めて認めてあげました。

ちょっとすっきりした表情に見えたけど、私がそう見たかったのかな?

でも、頑張れ!