不登校の子の父親である公認心理師が語るブログ

不登校の我が子の出来事を、父親かつ教育現場で働く公認心理師の立場からお話します

部活動がきっかけに

「部活に行ってみようかな~」(我が子)

「ん、はい?」(私)

「そうだね、いつ行ってもいいということだし、行っていいんじゃない」(私)

「ジャージでいいかな」(我が子)

ちょっと調べてみると、部活動はジャージですることになっているようだ。

「ジャージでいいみたいだよ。明日先生にも確認してみようか。」(私)

「うん。」(我が子)

 

ということで、担任の先生に電話をしてみました。

かなり、不登校の子への理解がある先生で、

決して無理させない、気持ちを尊重する、

という姿勢を取る先生なので、

「ジャージで大丈夫ですよ。科学部ですよね。担当の先生に活動時間を聞いてみますね。(しばらく待ち)今週の予定は・・・・、来週は・・・・。です。来られるときに、来られる時間で大丈夫ですよ。」

と、丁寧に対応してくれました。

「実は、自転車通学なのですが、自転車を止める指定の場所すら分からなくて。」(私)

「ああ、そうですね。んー、では教職員兼来客用の駐輪場に止めてもいいですよ。・・・・にある駐輪場です。来たら、とりあえず職員室に来るようにしてください。そうしたら、駐輪場所も教えますよ、パソコン教室にも連れていきますよ。」(先生)

自転車というと思い出されます。不登校をした初日が、自転車を学校まで押していかなければならなかったのを忘れて、自転車を押さずに行ってしまい、途中で気がついて戻ってきたけど、「遅刻になるし、もういやだ」となったのでした。

1年半過ぎて、ついに自転車登校するのかな。

期待してしまうのですが、そこは「グッと」こらえて平常心。それは部活に行って欲しいですが、期待をすると上手くいかなかった場合、とても心にこたえる。これまでの出来事で、親は学びました。

ともあれ、担任の先生から聞いたことを我が子に伝えると、

「わかったー」という返事。

あれ、本当に行くかも。。。

 

翌日、行ったかなー、いや行くはずないよ。期待しちゃだめ、一人問答しながら帰宅すると、部活に行っていました!

おおー!正直驚きです。いやいや、ここで親が喜んでいる姿を我が子に見せてはいかん。親の期待は子どもは敏感に感じます。すでに、感じているはず。その状態で「喜んだり、やたらに褒めたり」したら、明らかに親の期待を感じてしまうでしょう。それがプレッシャーになってはいけないし、かといってまったく知らんぷりも変ですから、昨日の続きのように、「普通に」話しかけようとしました。

「今日、部活いったのー?」(私)

「うん。行ったよー。」(我が子)

「自転車止めるところ、大丈夫だった?」(私)

「うん、先生に教えてもらったー。」(我が子)

「それはよかった。部活も大丈夫だった?」(私)

「うん。」(我が子)

まあ、これくらい確認できればOKです。あまり、根掘り葉掘りきかないように気をつけました。初めて行っただけで、根掘り葉掘り聞かれたらうんざりでしょうし、実際よくわからないことも多いでしょうし。

親としては、色々と聞きたいのですが、我慢が大切です。ここは、子どもの自主性を大切にしましょう。自分から動いたら、子どもに任せる。親としては、せっかく動いたのだから、なんとかテコ入れして、継続させたい、と思ってしまいます。当然です。でも、子どもが自分から動いたということは、自律的な動機づけによって動き始めたということです。

自律的動機づけとは、思春期から大きくなってくる、大切な動機づけです。自律的(つまり自主的)に「やろう」と思って行動しようとする「エネルギー」です。この自律的動機づけが沸き上がって行動したときに、他者(この場合は親)が「それは良いことだ」と評価してしまったり、(間違ってはいけないのは「ほめる」ことはOKです。親の価値観で「評価を下す」ことはNGなのです。)「もっと頑張れ」「こうしたらいい」と親の価値観を押しつけてしまったりすることは、やってはいけません。子どもの自主性を奪い、自律性を侵害することになります。すると、子どもは一気に「やる気」=動機づけを失ってしまいます。つまり、親に「させられている」=他律的になってしまうからです。

関心を持っているというメッセージを送る感じで、「いいね!」と何気なく褒める、ちょっと難しいですけど、私は意識して対応するように心掛けています。(心掛けていても「していない」「できていない」ことがあるのですが…)

 

さて、我が子は部活に行ったわけですが、ここでもう一つ大きな要因があります。それは、我が子が行った科学部には、「時々家に遊びに来てくれる友だちが在籍している」ということです。部活に行っても「知らない子ばかり」だと、さすがに居場所がないでしょう。部活に行って、その仲の良い友だちと話をしながら、パソコンをいじって過ごしたらしく、楽しかったようです。

この友だちの存在は大きいです。その子にとっても、我が子は仲の良い友だちなので、我が子が部活に来ることは楽しいようです。

そんなかんなで、週に0~2回くらいのペースで部活だけに行くようになりました。