不登校の子の父親である公認心理師が語るブログ

不登校の我が子の出来事を、父親かつ教育現場で働く公認心理師の立場からお話します

薬は飲まない!

母親である妻が、我が子を診察させるべく見つけてきた病院は、比較的近くにある総合病院。そこの小児科には、子どもが肺炎で入院した際など、お世話になっている。その病院に、子どもの心療内科を行っている医師がおり、かなり信頼できそうとのこと。

話を聞くと、良い先生のように思える。そこで、どのような診断がなされるかは、私たち夫婦にとっても、重要な判断材料となりそうだ。

受診の結果は。

抗不安薬の処方は必要ない。起立性調節障害でもなさそうだ。

我が子本人は、「薬は飲みたくないです」とはっきり言ったそうだ。

 

さて、どうしようか。

さすがの妻も、抗不安薬については同僚から「抗不安薬はやめられなくなるから、絶対に服用しない方が良い!」と強ーく言われたもいたようで、服薬の必要がないことにむしろ「ホッ」としている様子だ。

 

ちなみに、起立性調節障害についても、スクールカウンセラーから不登校になる要因として、妻は聞いていたようです。

確かに、起立性調節障害不登校の要因の一つになることはあると思います。

起立性調節障害では、自律神経系の異常で循環調節(上半身、脳への血流低下)がうまくできず、「立ちくらみ」や「朝起きられない」「気分不良」「失神や失神様症状」「頭痛」などの症状がみられます。症状は午前中に強く、午後に軽減する傾向があります。夜に目がさえて寝られず、起床時刻が遅くなることもあります。心理社会的ストレス(学校や家庭でのストレス)が関与するといわれ、ストレスで増悪するともいわれています。

実は、私が起立性調節障害でした(自己診断です)。小学生の頃から「立ちくらみ」は日常茶飯事で、毎日数回「立ちくらみ」していました。そのうち、「あっ、このタイミングで立つとクラクラするぞ」という予想さえできるようになりました。そんな時は、物につかまって、ゆっくり立ち上がり、失神を回避します。でも、うっかり失神することもしばしば。お風呂や部屋で、こっそり一人で、よく倒れていました。(親には言えなかった。)「朝起きられない」のは毎日。学校の登校班の集合時間に間に合ったことはなく、走って小学校に行ったり、遅刻したりしていました。そのため、忘れ物も多く、なかなかしんどかったです。しかし、私の親からは「怠けている」としか見られないので、自分もそうだと思い込んでいました。成人してからも、「立ちくらみ」や「失神様症状」はありますが、失神するのは稀になりました。

子どもだった私はつらい思いを抱え込みながら、何とか学校に行っていたわけです。でも、年に何回か、どうしてもつらくて、むりやり「熱を出して(時には体温計を擦って摩擦熱で温度を上げて)」学校を休んでいました。だから、「学校に行きたくない」と言えた我が子をうらやましくも、逞しくも感じるのです。

 

ともあれ、我が子は起立性調節障害でもなさそう。遅刻してでも相談室に登校できるかというと、しません。行きません。断固拒否!という感じです。

さて、どうしましょう。どうしても現代人は、病いの原因を探したくなります。原因を究明し、それに手を加えれば治療される。不登校になる原因を探り当てられれば、治る。そう考えるのも、無理ありません。しかし、切り傷や細菌感染と同じように、心の問題を扱えるのでしょうか。

子ども本人だって、理由は分からないのかもしれない。大人が「あれかな?これかな?」と聞いていると、「そうかもしれないかな…」ともっと分からなくなってしまうかもしれません。

 

私たち夫婦は、あまり、学校に行きたくない理由を根掘り葉掘り聞きだすのは、今はやめようということで意見は一致しました。私は、「行きたくない理由を聞き出そうとする」親の態度により、ますます我が子が精神的に追い詰められ、親に対しても「緘黙」してしまうのを恐れました。まずは、親こそが今現状の子どもを全面的に受け入れようとして、子どもを安心させること、それが第一と考えていました。妻は、私のように理論的にではなく、スクールカウンセラーや病院に行ったときの我が子の様子から、直感的に「我が子を追い詰めてはよくない」と感じたそうです。

 

でも、学校でなくても、外の社会には触れてほしいよね。そう考え始めました。