不登校の子の父親である公認心理師が語るブログ

不登校の我が子の出来事を、父親かつ教育現場で働く公認心理師の立場からお話します

ネット依存という言葉への恐怖

親の話し合いは続きながらも、当の我が子は学校に行っていない。

規則正しい生活を遅らせることは、親として絶対に必要という点では、私たち親の間でも合意ができているので、学校に行かない・行かせないにしても、今まで通りに朝起こし、夜寝させるようにした。

リビングにTVとTVゲーム、パソコンがあるので、不登校となった我が子は日中リビングにいることになる。母親である妻は医療従事者で日中は仕事のため、我が子一人で家で過ごすことになる。

お昼ご飯は、母親が用意しておいたり、自分でレンジで解凍して食べてもらったり、簡単な調理をしてもらったりして、すませるようにした。

TVゲームやネットの制限をどこまでするのか、夫婦で悩みました。

ネットはマイクロソフトとグーグルの子ども制限システム利用して、いわゆる「ヤバい」サイトにはアクセスできないようにした。と、同時に、ネットのメリットとデメリット、特に危険性について、我が子と話し合いをした。以前から、結構ニュースを見たり、新聞記事を読んだりして、親とも社会のニュースについて話し合ったりしていたので、ネットの危険性についてはかなりの自覚があった。SNSはしないこと、自分の個人情報をネットに載せないことなど、話をしながら確認し、私も「大丈夫かな」と思えるようになった。

時間制限は、日中はなし。夕方、7時以降はしない。と子どもと取り決めた。これは、先輩心理師の「TVだけが頼りだった」という言葉の影響が大きい。何もすることが無い、社会との接点すら感じられない、というのは危険すぎるとも思ったからだ。

まあ、時間制限をしてみたところで、親のいないところで守られるわけがない。約束を破られて嫌な思いをしたり、イライラしたりするくらいなら、破られる約束はしない方がよい。親の精神安定のためにも大切です。

ネット依存にならないのか。その恐怖はあります。アメリカ精神医学会が定めたDSM-5では、今後検討すべきものとして「インターネットゲーム障害」を挙げていますが、現在では「ネット依存症」と診断する基準は記載されていません。「やめたくてもやめられない中毒」としては「アルコール依存症」が有名です。

DSM-5では「アルコール使用障害」として診断基準が記載されています。

例えば、「アルコールを意図していたよりもしばしば大量に、または長時間にわたって使用する。」「アルコールを得るために必要な活動、その使用、またはその作用から回復するのに多くの時間が費やされる。」「アルコールの反復的な使用の結果、職場、学校、または家庭における重要な役割の責任を果たすことができなくなる。」などがあります。

これらの「アルコール」を「インターネットネット・TVゲーム」と置き換えると、分かりやすくなります。「ネットやゲームを始めると、意志に反して止められなくなる。」「ネットやゲームに多量の時間を消費してしまい、仕事や学業などに甚大な影響がある。」とったところでしょうか。

もちろん、診断は一般の方がすべきことではありません。心理師でも診断はできません。自己流の判断は、ただのラベル貼りとなり、ステレオタイプの見方・偏見が増長されて、デメリットしかないです。精神科医が慎重に判断することです。

ともあれ、不登校となった子どもの親は、家で「ネットやゲームばかりすることで、学業に支障をきたし、仕事にもつけずに働かなくなって、子どもがずっと家にひきこもってしまうのではないか」という恐怖を心の底から感じています。子どもの将来を案じている親としては、当たり前の感情、気持ちです。私もそうですし、母親である妻もそうです。

 だから、このまま、母親である妻が「学校にいかなくてもいい」として、放っておくことができなかったのは、当然のことであった。