不登校の子の父親である公認心理師が語るブログ

不登校の我が子の出来事を、父親かつ教育現場で働く公認心理師の立場からお話します

安全基地であること

安全基地は M.Ainsworthが提唱し、J.Bowlbyの愛着理論でも中心的な考えとなっています。健全な愛着を形成し信頼できる養育者をもった子どもは、養育者を安全基地とした探索活動を活発に行うことができます。

安全基地という考えは、乳児~幼児の研究で明らかにされてきましたが、児童にも当てはまりますし、成人してからの行動にも影響します。

家庭の中で育つことが多い日本では、家庭が心の底から安心できる場所であることが大切です。心の底から安心できる家庭があることで、心のエネルギーが充填でき、何かに向かってする心のパワーが生み出されるのです。

不登校になっている子どもは、学校に行くという行動に疲弊している状態かもしれません。心のエネルギーを充填するはずの家庭が、「学校に行きなさい」というプレッシャーを加えられる場所に変化してしまったら、子どもはどこでエネルギーを充填すればいいのでしょうか。

不登校の子は、学校に行くことに能動的に反対しているわけではありません。

我が子は、学校に行くことがものすごいストレスとなり、心のエネルギーがもぎ取られているように見えます。小学校の時に見せていた、あふれるばかりのエネルギーが感じられません。ここで、私たち親が「学校に行きなさい」というプレッシャーを与え、無理強いしたら、この子は潰れてしまう。その危うさをザックリと感じました。

だから、父親である私は、この子の安全基地としてあり続け、心のエネルギーを与える存在であろうとグッと思ったのです。でも、私にとっても、胸が締め付けられるような苦しさを感じました。苦しかった。「学校に行かなければダメだっ!」と、ああ、言うことができたらどれだけ自分は楽になれるのか。逡巡しました。でも、それを言ってしまったら…。

「学校に行かなくてもいいよ」と言ったその時の、我が子の安心した顔、この顔こそ、親の心を癒してくれる。それでよかった。